初恋は海に還らない
布団の中で頭を抱えていると、無遠慮に理玖が和室の扉を開いたのが今現在の状況だ。しかも洸に頼まれて来たって、もう洸は私と会うつもりはないのか。胸にモヤが広がる。
理玖は私の被っていたタオルケットを剥いだ。
「……人と話す気分じゃない」
「俺だって頼まれて来てるんだよ。洸と何かあった?」
「…………洸の、過去を知った」
「……あー」
「それで……その件に触れた」
「馬鹿だな」
「……ねぇ、理玖。洸とその婚約者さんって、どんな感じだったの」
「…………はぁ、そんなん聞いてどうすんだよ」
「どうするって」
「都は洸のこと好きだろ」
理玖は布団の上にぺたりと座る私を見下ろす。
まさかバレていたとは。私が呆気に取られていると、理玖は呆れたように首を傾げた。