初恋は海に還らない




 ──その一ヶ月後、洸は真夜中にあの堤防から飛び降り亡くなった。


 自分の部屋で理玖からの知らせを受け、私の中にあった違和感がやっと正体を現し、膝から崩れ落ちた。


 
『この夏をお前と過ごせて幸せだった』



 耳の奥で、洸のあの言葉が蘇る。


 ──そうか、そうだったんだね、洸。


 最初からずっと、彼女のところに行きたかったのに、私を生かす為に、一緒に最後の夏を生きてくれたんだね。



「……洸」



 死なないでほしかった、どんな形でも生きていてほしかった。


 けれど、それは私のエゴだ。分かっている。なのに、どうしても胸が張り裂けそうなくらい痛い。苦しい。涙が次々に溢れて止まらない。



「失うって、辛いね、洸っ……」



 洸は今、彼女の元に還れて、幸せ?




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