君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
「さ、かーえろ帰ろ!」
佳那が、手鏡をかばんの内ポケットにしまい、「レッツゴー!」と言いながら、おもむろに立ち上がった。
ぴょこぴょこした佳那の動きは、本当にウサギに似てる。サイドで跳ねてるツインテールが手伝って、佳那は本当に、垂れ耳のウサギにしか見えない。
「佳那ってさー、本当にウサギみたいだよね」
「んー、よく言われる」
佳那が、満更でもなさそうに言った。
「自分では、どこが? って感じなんだけどさ」
えぇ、嘘でしょ。
佳那は、自分の可愛さを分かってない。佳那は頭もいいし、すっごく魅力的な子だっていうのに。
「…あっ、見て、弥優! 下に生徒会の人達が居る!」
不意に、佳那が窓の外を指さして、こうふんしたように叫んだ。
「えっ、本当?」
私が佳那の横に立って下を覗くと、確かに下に生徒会の人達がいて、その周りには人だかりが出来ていた。
「きゃあっ、生徒会長様いるじゃん! 野山くんも! 弥優、弥優、早く行こ!」
言うが早いが、そういった直後には佳那の姿は見えなくなっていた。
ちょっと、速いよ、佳那!
「えっ? あ、ちょっと待って佳那!」
私はそう叫んで、机の横にかけてあった佳那のかばんも取って、すぐさま駆け出した。