君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
それに合わせて、私もそちらに視線を向けた。そこにいたのは…、他でもない、野山くんと、生徒会長。
2人は仲良さそうに小突き合いながら、こっちに向かって歩いてきていた。
「すぇ、生徒会長っ?! のや、野山くんっ?!」
佳那がすっとんきょうな声を上げて、その場でぴょんと飛び上がった。
野山くんが、生徒会長の方を見て、不満そうに何かを言っていた。
何を言っているかは聞こえなかったけど、揉めてるみたい。
「獅月、さっき俺が鍵拾ったの、この子だよ。ねぇ、でしょ?」
野山くんが、急に私の方を見てそう言った。
突然話しかけられた私は、一瞬何が起こったのか理解できなかった。でも野山くんの目をみて、ハッと我に返る。
「へっ? あぁ、はい。そうです、ありがとうございましたっ」
私がとっさに答えると、野山くんは「ほらね」と、生徒会長に向き直った。
「嘘じゃなかっただろ」
「まぁ……」
生徒会長が、「信じられん」というような顔をして私を見た。
えっと…この2人、何か賭けでもしてたのかな?
「だいたい、獅月は俺のこと過小評価しすぎなの!」
「いや、お前は俺の弟にしか思えない」
「あ…あのっ!」
とそこに、佳那が泣きそうな笑顔で割って入った。
「ののの、野山くんと生徒会長様ですよねっ?」
「ん、そだよ」
野山くんは佳那の方に向き直って、
「如月ちゃんの友達? 何てゆーの? 生徒会入らない?」
と、佳那を口説き出した。
佳那はこれ以上ないってくらい、幸せな顔をしていた。