君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
「凄かったなぁ、野山くんと生徒会長。2人って、仲良いのかな?」
野山くんに話しかけられて、未だに横で発狂している佳那。そんな佳那が、私の独り言に鼻歌を歌いながら答えてくれた。
「あの二人ぃー、幼なじみらしいよー! で、親友なんだって〜。フフーン! イケメン同士の幼なじみとかぁ〜、フゥゥー! 類は友を呼ぶって、やつだねぇ〜フワあっふぅ!」
「佳那……めっちゃ聞きにくいからその鼻歌やめな……?」
「んー、分かったー、フフーン!」
返事しながらも鼻歌を止めない佳那に、私は「ダメだこりゃ」と悟って諦めた。こうなった佳那は、どうやっても手が付けられたもんじゃない。
それにしても、あの二人って凄いイケメンだったなぁ。性格もいいし。
野山くんは優しいしフレンドリーだし、生徒会長はミステリアスな感じでキラキラしてて。
そりゃあ噂になるよねって、納得。
「フフフーン! あー、写メ撮ってもらえばよかった。……って、弥優」
佳那が急に鼻歌を止めたので、私は何事かと振り返った。
佳那は買ったばかりの最新型のスマホの画面を私に向けていた。
画面に表示された文字をみて、私はつぶやいた。
「えっと、あ、1年1組Lime? あ、グルラ出来たんだ」
私もかばんの奥の方に突っ込んであったスマホを取り出して、トークアプリ「Lime」を開ける。
すると、佳那から『1年1組Lime』というグループに招待されていた。
クラスのLimeかぁ……。
「作るの早いね……誰が作ったんだろ?」
私は『参加する』を押して、少しの間クラスLimeを眺めた。
すぐにポコンっと音がして、佳那が送信したスタンプが表示された。佳那らしい、ウサギが「よろしく♡」と言っているスタンプだった。
私も何か送ろうかな?
ちょっと考えて、「5番の如月弥優です。よろしくです!」と打った。
すぐに既読が10も付いて、びっくりする。
「結構みんなスマホ見てるんだね」
私が言うと、佳那はうなずいた。
「みて、クラスの人ほとんどが参加してる。早いね〜」
「私たちが生徒会長達を見に言ってた時にでも、みんな交換したんじゃない?」
「あー、なる!」
ポコンっ
また通知音が鳴って、画面に目を向けた。すると、……。
「……瀬凪だよね、これ??」
通知には、
『《senagi きーち》があなたを友達追加しました』
と、書かれていた。