君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
校門を通って、しばらく歩いたところで、佳那が興奮したように「あっ!」と叫んだ。

「野山くんがいる! 生徒会の書記の!」

佳那が指さしている方を見ると、看板を持って、まぶしい笑顔で「新入生のみなさんはこっちに来てくださーい」と叫んでいる人がいた。

「野山くん? 知り合い?」

私が聞くと、佳那はぶんぶんと首を振った。

「違うよ、知らないの? 弥優。野山くんは、イケメンだって噂になってたじゃない! うちの学校って、顔面偏差値高いって有名なんだよ?」
「そ、そうなんだ」

ミーハーすぎる佳那に、ついていけない私。でも…あんなに素敵な笑顔なら、モテるんだろうなぁ。

「生徒会長は、もっとかっこいいんだって!
私、めっちゃ楽しみ! 」

佳那は、うふふと笑いながらくるくる回った。スカートが円形状に回って、バサッと浮き上がる。

「やめなよ、スカートが」
「あっ」

私が指摘すると、佳那はすぐに動きをとめた。
こういうところは、変わってないんだね。

「とにかく入ろ! 何組かな?」
「めっちゃ緊張してきたんですけど〜!」

私たちは、特に言うでもなく駆け出した。履きなれないローファーで走るのは、ちょっと変な感じがしたけど。

校舎に入ってすぐ、そこにはクラス分けの張り紙がしてあった。
人混みをかけ分けて、背伸びしてクラス表を覗いた。

まずは 1組から。私の苗字は如月だから、き。小川、神崎、…如月!

「弥優、何組?」
「1組。佳那は? あっ!」
佳那の苗字は、秋元。あ、だから…あっ、あった!

「やった、私たち同じクラスだね!」
「ホントに!」

私たちは、手を取り合って喜びあった。周りの人からの視線に気づいて、すぐやめたけど。
「私、出席番号2番だった!よかったよ、ホントに」

体育館に向かいながら、佳那はホッとしたように言った。
佳那は、苗字が秋元なだけあって1番になることも多かった。何かと1番って面倒くさいんだよね。

「よかったじゃん。私5番!」
「あ、じゃあ席の列同じかもね」

入学前のオリエンテーションの時は、1列5席だった。そしたら、佳那は1番窓側2番目の席で、私は5番目の席だ。

「でも、どうせなら隣がよかったなー」
「それもそうよね〜」

どうせなら、六番が良かったなぁ……なんて、贅沢か。同じクラスなだけ、感謝しなきゃね。

ねぇ、佳那、これからもよろしくね。
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