君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
理科実験の班は、教室での席の班と同じ。だから私は、必然的に瀬凪と同じ班になっちゃうんだ。
やっと優空ちゃんに追いついて、横に並んで歩く。

「瀬凪と同じ班とか、泣くんだけど」
私が自分の不運を嘆くと、優空ちゃんは首を傾げた。
「そうかしら? 彼、あれでも頭はいいじゃない」
優空ちゃんは知らないんだよ、あいつの性格の悪さを!
「成績がよくても、性格わっるいじゃん、あいつ」

「……みゆうちゃんにだけかもしれなくてよ」
優空ちゃんがボソッと呟いた言葉がよく聞こえなくて、聞き返す。

「え? なに?」

そう聞いたあとで、ハッとした。視界の端に写った優空ちゃんは、なんとも言えないような厳しい顔をしていたから。
でもそれも一瞬で、次の瞬間には優空ちゃんはほほ笑みを浮かべていた。気のせいなのかと、感じてしまうくらいには。
「……なんでもないわよ。早く席につきましょ」

優空ちゃんは、そそくさと理科室に入っていく。また置いていかれそうになって、私は足早に彼女を追いかけた。
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