君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
で、でも、優空ちゃんは女の子。マッチつけるの、内心は怖いに違いない!

私は、期待を込めた目で優空ちゃんを見つめた。
まさか、マッチが苦手なのが私だけって……そんなの有り得な……。

「点いたわ! 瀬凪くん、どうかしら」

しかし私の思いとは裏腹に、簡単にマッチを点けてしまう優空ちゃん。

「じゃあ、次は如月の番。はい」

瀬凪が、出したままの私の手のひらの上に、マッチの箱を置いた。

「私、……」
もう、やらない道は無いのかぁ……。
私は無心で、マッチの箱を見つめた。

頑張れば。頑張れば、出来る……。
私はそう自分を奮い立たせて、箱を開けた。

「何、ためらってんの? マッチだぜ?」
瀬凪が、からかっているつもりなのか、ニヤニヤしながら私に言う。

「……」

言い返す気力もなく、無言で棒を1本取り出す私。

「おい、どうしたんだよ?」
反応されずに困ったらしい瀬凪は、戸惑ったように私に聞いた。ちょっと、静かにして。今、頑張ってるんだから。

恐る恐る、マッチを箱の側面でこする。
軽々とやってのけたみんなは大して力を入れてないように見えたのに、やっぱり微力じゃ火は点かなかった。

「あはは、全然つかないやん」

…逆に、ついてほしくないよ……!

私は唇を引き結んで、マッチを見つめた。
それで思い出すのは、あの、怖かった記憶。
やっぱり、怖い……!

私がぎゅっと目を瞑った、その時。
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