君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
「…無理にやらなくてもいいじゃん」
鐘原くんの、声がした。

「…え?」
私が顔を上げると、そこには鐘原くんの真剣な顔があった。

「確かに全員がやれって、言われてたけどさ。怖がってるのに、1人でやらせる必要も無いでしょ」

鐘原くんはそう言って、私に微笑んだ。そして私の手からマッチを取ると、箱でこすって火を点けた。

ボォ…と音を立てて、光った赤い炎。

「これ、如月さんの分。僕が代わりにやったよ」

「あ、ありがとう……!」
鐘原くん、なんて優しいの!

私は感動して、鐘原くんが持っているマッチを見つめた。すごい、私の代わりにやってくれるとか、気が利きすぎる。

「……ちぇ。鐘原……」
鐘原くんの所業にただただ感嘆していた私は、横で舌打ちした瀬凪に、気付きもしなかったのだった。
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