君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
体育祭の恋の伝説
ハチマキならぬ……?
今日の昼休みも、佳那は生徒会の集まりがあったようだった。
「そう、そういえば、この学校には"体育祭の恋の伝説"があるんだよ!」
「“体育祭の恋の伝説”? 何それ、初耳」
流石、うわさ話が大好きな佳那。私は、そんな話は1回も聞いたことがない。
佳那は、声を潜めて続けた。
「玲亜ちゃんから聞いた話なんだけどね」
玲亜ちゃんというのは、佳那が『sasaburanka』というブランドをきっかけにして仲良くなった、國方玲亜ちゃんのこと。
私は話したことないけど、佳那とは生徒会にまで一緒に入ってる。……私が断ったからだけど。
「よく、漫画とかでハチマキ交換するってネタあるじゃん?」
あったね…あの、男女が好きな人とハチマキを交換するってやつ。有名だから、告白同然の行為!
「あるよね、あれ。絶対出来ないけど」
「……そうかな? 私小学校の時、5回くらい交換したことあって、結局誰のが自分のか分からなくなったことあるけど……」
佳那が、ちょこんと首を傾げる。
え、嘘でしょ? 5回?! それ、おかしいって! 佳那がモテてたのは否定できないけど。
「初耳なんだけど……」
私が佳那をちょっと睨むと、佳那は「いや、そんな言うようなことでもないと思ってたんだけど…もしかして、私だけ……?」と、たじろぎ始めた。
佳那! 無自覚モテ女とはあなたのことよ!
……ていうか、正直、佳那が羨ましい。なんで、普通にしてても可愛くて、モテるんだろ、って考えちゃう……。