君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
何で嬉しそうだったのかなんて、私にはそんなことを気にしている余裕は無かった。
ただただ優空ちゃんの雰囲気に気圧されて、いつの間にか私は、ぽつりぽつりと佳那のことを話し出していた。

「佳那は…大好きなんだ。でも……、時々、私が佳那の隣にいる理由ってなんだろう、って思っちゃうんだ」

「……そうなのね」

「佳那って、可愛いじゃん? だけどよく『私は可愛くない!』とか、真面目な顔で言うのね。でも、何だか最近、それが無自覚じゃなくて、わざとなのかなって思えてきちゃって」

「わざとなんじゃないの?」

優空ちゃんは、低い声で、そう言った。その言葉が予想外すぎて、私は固まった。

「え…何でそんなこと言うの?」

「だって、そうでしょ。……私、前、聞いちゃったのよね」

「……何を」
優空ちゃんの淡々とした口調から嫌な予感がして、私は彼女の言葉を急かした。
優空ちゃんは一瞬、困ったように目を逸らした。でも、私が黙っていると、意を決した様に口を開いた。

「みゆうちゃんは秋元さんと仲良いから、言いにくいけどね……? 秋元さんが、言ってたのよーー『弥優は、大して可愛くないし、利用しやすいだけ』って」

「……はぁ?」
私はすっとんきょうな声を上げて、優空ちゃんを見た。

そんなの有り得ない。可愛くないのはどうでもいいけど、利用なんてされたことないよ……。多分。

「有り得ない、佳那はそんな策士じゃないよ、だって、中学になって恋して、たくさん努力してんの、私は知ってる……」

「矛盾してるわ」
優空ちゃんは、少し早口で私の言葉をさえぎった。

「さっきは、『佳那がわざとああいうことを言ってる』って言ってたわよね? だったら、私の話も信じるしかないんじゃなくて?」

「だけど……」
優空ちゃんの顔を、そっと伺いみる。信じたくない。大好きな佳那。優空ちゃんは、ウソとか、つかないよね……?
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