君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
その言葉と同時に、ガラガラと音を立てて出入口が空いた。

佳那がお馴染みのツインテールを跳ねさせて、私に手を振っていた。
でも優空ちゃんの顔を見た途端、あからさまに怪訝な顔をした。

「あっれぇ、副委員長ちゃん? 弥優、待たせてごめん〜」

「……あ、うん」
佳那の屈託のない顔を見ていると、今まで優空ちゃんと話していたことが思い出されて、少し申し訳ない気持ちになる。

ーーどっちにしても、優空ちゃんの話が本当なら、申し訳なくなんかないけど。

「弥優、早く帰るよっ」
佳那は私に預けていたかばんを手に取ると、急に私の手を引いて走り出した。
「ちょっと、佳那! ごめん優空ちゃん!」

優空ちゃんの強ばった顔が視界に入り、でも私は謝る隙もなく佳那に連れてかれていく。
私の手を掴む佳那の手が思いの外汗だくで、何をそんなに焦っているのかと不安になる。

優空ちゃんの話が、本当にホントだったのかなって思えてきて……。

「っ!」

校門を出てしばらくして、ようやく手が離された。お互いに呼吸が乱れていて、少しの間沈黙が続いた。
でも、先に口を開いたのはーー

佳那だった。

「弥優……さっき副委員長ちゃんと何話してたの」

「何、って……」

佳那に言えるわけが無い。私は、何も答えられなかった。
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