君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
「弥優、知ってる? 副委員長ちゃん、小学校の時の悪い噂が沢山あるんだよ。だから、あんまり関わらない方がいいと思う……」

「……佳那」

「私は弥優を心配してるの! ほら、何か、時々怖い目してたりするし……。変なこと言われなかった? 噂では副委員長ちゃん、小学校の時はーー」

「佳那っ!」

思ったよりも大きな声が出て、自分でも驚いた。
佳那がビクッと肩を震わせて、私を恐れるように後ずさった。その動作が余計腹立たしくて、私は大声のまま続けた。

「そうやって人のこと悪くいうのやめて! なに、悪い噂とか。ただの噂じゃん! 人を侮辱するような噂を信じて、そんなの酷すぎると思わない? それで傷付く人は沢山いるんだよ?!」

「……っ!」
佳那の目が大きく見開かれて、彼女の眉が大きく歪んだ。

佳那がーー傷付いている。

それでも佳那は、震えた声で続けた。

「でも、弥優……それは悪いけど、今回ーー」

「……認められないの?」

佳那が言い訳しようとするのが許せなくて、ささやいた。

「見ないふり、しないでよ。自分の間違い」

これでも、まだ言い訳をするの?

言い訳しだしたら、佳那は悪い人だ、と、覚悟を決めていた。

だって、噂を根拠にそんなこというなんてひどい。
優空ちゃんのことを悪くいうのだって、優空ちゃんが私に佳那のことを言うことを見越してのことかもしれないし。

「……間違い……か」
佳那はそうつぶやき、目を伏せた。

「弥優は、副委員長ちゃんの言うことを信じるわけ……? ずっと一緒にいた、私の言葉より?」

「……っ!」
佳那の震えたか細い声が、私の心の中心に、グサッと深くささった。
……だけど、佳那が悪いのは、事実じゃん。

私は間違ったことなんてしてない。

弁明も出来なくて、私はただ、口をつぐんだ。

ぶわぁぁ…と、強い風が私たちの間を迅速に吹き抜けて行った。
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