君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
あの子と離れて
明くる日の朝。
「佳那、迎えにこないなぁ……」
朝、いつも佳那が家に来ていた時間。佳那は、来なかった。
当たり前か、と思いつつ、ちょっと待ってしまった私はなんなんだろう。
「あれ、佳那ちゃんは?」
お母さんがキッチンから聞いてきた。聞かれるとは思ってたけど。
その言葉に、ドキッとした。佳那と色々あったこと、お母さんには言ってないから。
いつも佳那がうるさくしているのに、今日はそれがないから不思議に思ったらしい。
「きょ、今日は用事があるって」
何故か意地を張って嘘をついちゃって、チクッと胸が痛んだ。
「あー、生徒会? 忙しいのねぇ」
お母さんは特に気にするでもなく、洗い物に目を向けた。
上手く言い訳できたのに、少し物足りなく感じた自分がいた。…なんでかな。
はぁ、やだなぁ…明日からどうしよう。毎日毎日、佳那が用事があることには出来ないし。
そう思い悩んでいた、その時。
ピンポーン
玄関の、チャイムが鳴った。
「えっ?」
……佳那?
予想外の展開に、私は走ってドアへと向かった。
「佳那!」
まさかとは思いつつ佳那の名前を叫びながらドアを開けた。しかし、そこにはーー
「ゆ、優空ちゃん?!」
朝からきっちりと制服を着こなした優空ちゃんが、背筋を伸ばして立っていた。