君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜

何この感覚。でも、この感覚は……覚えちゃいけない、感覚な気がする。じゃないと…引き返せない、みたいな。
私はこの虚無感を振り払うように首を振って、咳払いした。

「えへん…優空ちゃん、瀬凪が、好きってことだよね?」
確認するように聞くと、優空ちゃんは「何度も言わせないでちょうだい」と、怒ったように言った。

「ごめんってば! でも、意外だなぁ…よりによって瀬凪?」
私が笑いながら言うと、優空ちゃんが顔をしかめた。
「よりによってって……」

あ、そっか。好きな人のこと悪く言われたら、いい気しないか。
「ごめん、びっくりして!」

私がすぐに謝ると、優空ちゃんは「いや、そういうことではなくてね……」と、ボソッとつぶやいた。

「え、じゃあ、どういうこと?」

他にどういうわけがあるの? 私の言い方、悪かったかなぁ……。
私が戸惑っていると、優空ちゃんは、ハッとしたように目を見開いた。そして、

「あ、なんでもないわよ。あはは」
と、言った。

優空ちゃんはそう言ったけど、その言い方が、少し引っかかった。
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