君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜



いつもは佳那と通っていた校門を、今日は優空ちゃんと通った。
校門を通りながら、後ろへと目線を動かしてしまう自分に呆れる。

ーー私、まだ佳那を探してる。

もしかしたら、私が家を出たあとに訪ねてきたかもしれないって。
佳那は私に、しかも優空ちゃんにまで酷いことを言った人なのに、それでも一縷の希望にすがってしまう自分がいた。

これまでずっと築き上げた友情を一日で全て忘れるなんて、とても難しいことなんだ。
こうなってから、初めてわかる。
私、これからこんな気持ちをたくさん経験していくのかな……。

「ーーねぇ、みゆうちゃん! 聞いているの?」

物思いにふけっていた私は、優空ちゃんが張り上げた声に、現実に引き戻された。

「ひぁっ!? ごめん、何?」

私が謝ると、優空ちゃんは「もう、しょうがないわね」と言い、私にスマホの画面を見せてきた。

「見て、私と瀬凪くんとのLime!」
「……えっ」

ーー私、本当になんにも聞いてなかったんだな。

瀬凪と、優空ちゃんの…、Limeぅ?!
< 46 / 49 >

この作品をシェア

pagetop