君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
「何だったのよ、もう」
やり場のない怒りを足音に響かせながら、私は昇降口を出た。
春の爽やかな風が、私の髪を撫でる。ピンで留めただけの髪が、風に巻かれて持ち上がった。
やだ、ボサボサになっちゃうじゃない。
「あ、ねえ」
とそこへ、私に声をかけてきた人物がいた。私が怪訝な顔をしてそちらを向くと、さっきの人…佳那が言ってた、何だっけ、野山くんが立っていた。
「えっ、野山くん?!」
私が驚いて言うと、野山くんは苦笑いをして頭をかいた。
「何、みんな僕の名前、知ってるんだね」
「あっ、ごめんなさい、友達が言ってて」
私が頭を下げると、野山くんは「いやいや!」と手を振った。
「謝らなくていいって。君、1年生だよね」
「あ、はい」
私の返事に、野山くんは「そっか〜」と、頷いた。
「名前、なんて言うの?」
「弥優…如月弥優、です」
「如月さんか!」
野山くんはそう言って、手のひらを私に差し出した。
「これ、さっき落とさなかった?」
「…あっ!」
野山くんの手の上にあったのは、私の家の鍵! 野山くんが拾ってくれたんだ!
「あ、ありがとうございます!」
私が頭を下げると、野山くんは笑った。
「よかった。鍵、落とすと大変だもんね」
「そうなんです、本当に、ありがとうございました!」
野山くんは「良かった良かった」と、にっこり笑った。
あぁ…イケメンなだけある。笑顔もイケメン。こうやって、自然に笑えるからモテるんだろうな。
その時チャイムが鳴り出して、私はもう一度野山くんにお礼を言うと、すぐに駆け出した。
やり場のない怒りを足音に響かせながら、私は昇降口を出た。
春の爽やかな風が、私の髪を撫でる。ピンで留めただけの髪が、風に巻かれて持ち上がった。
やだ、ボサボサになっちゃうじゃない。
「あ、ねえ」
とそこへ、私に声をかけてきた人物がいた。私が怪訝な顔をしてそちらを向くと、さっきの人…佳那が言ってた、何だっけ、野山くんが立っていた。
「えっ、野山くん?!」
私が驚いて言うと、野山くんは苦笑いをして頭をかいた。
「何、みんな僕の名前、知ってるんだね」
「あっ、ごめんなさい、友達が言ってて」
私が頭を下げると、野山くんは「いやいや!」と手を振った。
「謝らなくていいって。君、1年生だよね」
「あ、はい」
私の返事に、野山くんは「そっか〜」と、頷いた。
「名前、なんて言うの?」
「弥優…如月弥優、です」
「如月さんか!」
野山くんはそう言って、手のひらを私に差し出した。
「これ、さっき落とさなかった?」
「…あっ!」
野山くんの手の上にあったのは、私の家の鍵! 野山くんが拾ってくれたんだ!
「あ、ありがとうございます!」
私が頭を下げると、野山くんは笑った。
「よかった。鍵、落とすと大変だもんね」
「そうなんです、本当に、ありがとうございました!」
野山くんは「良かった良かった」と、にっこり笑った。
あぁ…イケメンなだけある。笑顔もイケメン。こうやって、自然に笑えるからモテるんだろうな。
その時チャイムが鳴り出して、私はもう一度野山くんにお礼を言うと、すぐに駆け出した。