君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
さっきよりもずっと急いで走って、何とかチャイムがなり終わるまでに席に落ち着くことが出来た。

挨拶をする、と前に出て来た生徒会長は、聞いていた通り中々のイケメンだった。
彼が舞台に出てきた瞬間、周りの女子達が、きゃあきゃあと黄色い悲鳴を上げた。

みんなが一斉に前髪を整えだして、男子が「こえぇ」とつぶやき、女子に睨まれていた。ちょっと笑ったら、私まで睨まれちゃった。

その後、話が長いと有名な校長先生の、新入生への挨拶とやらいうものを聞いて、みんながあくびをしだした頃。

「次は、新入生代表、瀬凪希壱くん」

司会の人の声がマイク越しに響いて、やる気のないまばらな拍手が響いた。
それでもまだ集中力を保っていた私は、重い瞼をこじ開けて舞台を見ていた。

……って?!
舞台に現れた人物を見て、私は目をむいた。

「新入生代表に選ばれました、瀬凪希壱です。この度は……」

ーーだって、この人!

さっきの、失礼な男子じゃない! 新入生代表だったの?

瀬凪は、手元にある紙を見ながら、スラスラと文言を読み上げていく。
なんだか悔しいけど、こんな場で緊張せずに文を読めるのは素直にすごいと思う。

「……というわけで、みなさん楽しい学校生活を送りましょう。…1年1組10番、瀬凪希壱」

いっ、い、1組ですって?!
私は口をパクパクさせた。まさかの同じクラス……。絶対気まずいじゃない。
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