六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【リメイク版】
「新入生代表挨拶憶えてないのか?」
琴ちゃんを挟んで私の反対隣にいる凛ちゃんが、琴ちゃんを見ながら首を傾げた。
入学式の挨拶は首席が行うのが通例。
今年度は晃くんだった。
晃くんのことだから壇上に立っただけでざわつきが起こったっけ。
「友達が出来るか不安で雪村くんどころじゃなかった」
「……琴って割とドライだよな」
「大事だよ、友達。琴、ぼっち覚悟だったから、咲雪ちゃんが声をかけてくれたときは天使が降臨したと思ったからね!」
「大袈裟だよ」
入学して少し経った頃。
琴ちゃんとはクラスが一緒だったけど、友達が凛ちゃん以外いなかった私は、どう琴ちゃんに話しかければいいからわからないでいた。
でも、凛ちゃんに「三科さんに話しかけたい」って相談したら、凛ちゃんは背中を押してくれた。
それで私は自分から琴ちゃんに歩み寄ることが出来たんだ。
そんな、今では友達になれた琴ちゃんが横から抱き付いてきた。
「大袈裟じゃないよっ。こんな優しくて凛々しくて可愛くて頭もいいなんて、琴が男だったら絶対告白してなんとしても付き合ってるからねっ」
「じゃああたしも告白するか。咲雪に」
「なんで友達三人でドロドロするの」
思わず笑ってしまうと、つられたように凛ちゃんと琴ちゃんも笑顔になった。
――ざわっと空気が変わった。