六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【リメイク版】
「―――――⁉」
え、えええ⁉ まさかそこ見られてた⁉
焦りに焦る私とは裏腹に、晃くんはため息い交じりに口を開いた。
「それで、さゆ。勝手な判断だけど、母さんと小雪さんのこと話した」
「あ、そう、なんだ……」
晃くん冷静だな……私なんて頭の中が大運動会だよ。
ついっと、厳島先生が少しだけ鋭い目で見て来た。
「咲雪ちゃん、雪村くんからは聞いたんだけど、やましいことがあるわけじゃないんだね?」
やましいこと⁉
「ないですっ。お母さんと奏子さん――晃くんのお母さんの判断で一緒に住んでるだけですっ」
晃くんが話しているのなら、私が隠しては怪しくなるだけだ。
厳島先生は、足をほどいて立ち上がった。
そのまま私の前に立つ。
「ご家族の判断なら私が突っかかるとこではないから、秘密にすることは約束するよ、咲雪ちゃん」
背の高い厳島先生が傍に立つと、見上げる格好になる。
秘密にしてくれる……よかった。
厳島先生が把握して、その上で見逃してくれるなら……。
ふと、厳島先生が身をかがめて、私の耳にささやいてきた。