六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【リメイク版】
「なんとなく」
「……よくわかんないけど、私はいるけど自由にしていいよ」
……なんとなくが通じる晃くんがすごい。
「ありがとうございます。さゆ、椅子」
壁際に折りたたんであったパイプ椅子を開いて、晃くんが渡してくれた。
「んん? なんで二人してここで」
「さゆが面白いことしてバレそうなんでかくまってください」
「??? 雪村くん、更に意味わからんよ? 咲雪ちゃん、どういうこと?」
「あ、それは……」
こ、晃くん、鋭すぎる……! 私の不安を的中させてきた……⁉
「お弁当、私が作ったんですけど……同じの作っちゃって……」
「同じお弁当? ……ああ、そういうことか。雪村くん、そういうときは『面白いこと』じゃなくて『可愛いこと』って言うんだよ。二人とも、ゆっくり食べていきな」
厳島先生も理解が早い。
そして可愛いことなんかじゃなくて間抜けなことです……。
晃くんから受け取ったパイプ椅子に座って、膝の上でお弁当の包みを開く。
晃くんも、今朝私が渡したお弁当を開けている。
うう……ごめんね、晃くん……巽との時間に水差しちゃって……。
「さゆ? なんでそんな悲壮な顔で飯食う。美味いよ」
ひ、悲壮なかお……。