六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【リメイク版】
「へ? 別に晃くんと巽は競ってることとかないと思いますけど……ね? 晃くん」
晃くんの方に顔を向けると、晃くんも首を傾げていた。
「巽を蹴落としたいとか思ったこともないです」
「いや、そういう感じじゃなくてさ……。ま、この話はいっか。そうだ。ここ、普段からいるの私だけだから、気軽に遊びにおいで」
あでやかなのに、どこか朗らかな厳島先生に言われて、肩の力が抜けたのを感じた。
ずっと秘密にしてきたこととはいえ、緊張していたみたいだ。
ごはんを食べ終えて、厳島先生にお礼を言ってから教師室を出た。
晃くんとは扉の前で別れて、時間をずらして私が先に教室へ向かう。
この時間なら、凛ちゃんと琴ちゃんも教室に戻っているだろうと思って。
明日のお弁当は、まず中身を変えて……と考えながら階段をのぼっていると、踊り場で降りて来た男子にぶつかってよろけてしまった。
「あ、ごめ……大丈夫?」
ネクタイカラーが同じなその男子は咄嗟に支えようとしてくれたのか、腕を出してきた。
けど、そう衝撃も強くなかったから自分の足で踏ん張れた。
「こっちこそごめんなさい。大丈夫だよ」
軽く頭を下げてから、また教室へ向かおうとすると……
「あのっ、司さん、だよね?」