六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【リメイク版】

思わずぶすっとした顔になったと思う。


私はいわゆる茶色いごはんを作ることが多い。


煮物系ってことだ。


でも高校一年生の女子としては、写真に撮ってSNSにあげられるようなごはん――晃くんの作るようなごはんに憧れる。


やっているSNSは友達とお話するメッセージアプリくらいで、投稿するようなのはやってないんだけど。


友達二人もそういうのはやっていなくて私もなんとなく、やりたい! とまでは思わなくて。


中学の頃の私だったら、友達が出来るきっかけがほしい! と思って始めていたかもしれないけど、中学に入って少しした頃に出来た友達の凛ちゃんがいるから、私はそういう世界を望まなかったんだと思う。


晃くんが自分も一口食べてから、確か、と言った。


「おばあ様仕込みだっけ?」


「うん。だから晃くんのキラキラした海外のご飯みたいなの、すっごい憧れ」


「海外って」


くすりと笑う晃くん。


普段は不愛想でダウナーだと有名な晃くんだけど、実はよく笑う人。


……この同居どころか、晃くんと親しいことを大事な友達にすら秘密にしている理由は、晃くんが学校一の人気者だからということに尽きる。

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