六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【リメイク版】
2 カミナリ
side咲雪
六月。
梅雨に入りました。晃くんと暮らし始めて一週間です。
……雨の季節です。
「さゆ、大丈夫か?」
「んー……頭痛い」
「気圧にやられたか……」
「そうみたい……季節の変わり目って苦手なんだよねー……」
今日は土曜日。
朝から雨で、お昼近い時間になって私はダウンした。
リビングのラグに直接座って、勉強道具を広げたローテーブルに突っ伏す。
晃くんはノートパソコンを膝に乗せて、私の斜め前のソファに座っている。
「そういうときは休んだ方が――」
「……だよね。晃くんは大丈夫なの? ――」
聞こえたのは平然としている声だったから、のそっと顔をあげると、あれ? 晃くんが固まっていた。
「晃くん?」
少し離れているけど目線の先で手を振ると、はっとしたように瞬いた。
「かみ、なり……」
「え?」
晃くんに言われて、立ち上がって窓のレースカーテンを少しだけ開けた。
雨を落とす暗い空の遠いところが、一瞬明るくなった。
「雷かー。よく聞こえたね。って、晃くん?」