惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「は?お前呼びに来たんだろ。逃げんの?」


逃げんのって…


「に、逃げません!!」


なんかこの人には嫌悪感というより敵意が芽生えた。


「早く行きましょう!」


私は前を歩いていた一ノ瀬さんを抜かして急ぎ足で図書室へ向かった。


─図書室へ入って、席へ腰を下ろした。


「えっ!!一ノ瀬くん!?」


「図書委員やって良かったぁ〜」


そんな声を聞いて、イライラした様子の一ノ瀬さん。


なるほどね、これは絶対女子に優しいわけがない。


冷酷王子…


そう呼ばれてるみたいだけど、私が彼にはっきりとした印象をつけるなら……


『冷酷な一匹狼』


きっとそれが1番合う。


「ではこれから委員会を始めます。初めに委員長と副委員を決めたいのですが立候補者はいますか?」
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