惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「なんの事か分かってたんですね。」


分かってたのなら教えて欲しかった…。


なんて思ってしまう。


「ごめんね、でもあれは本音だから。」


「えっ!?」


「今度ちゃんと伝えるから、それまで待ってて。」


よく考えたら、笑顔が好きって、そんな特別な意味はなく言ってくれたのかなって思ったのに、今度伝えるって…何ですかっ、


私が疎いだけ??


「そういうところ。」


1人混乱する私の頭を優しい手つきで撫でた先輩の頬はほんのりと赤く色づいた。


「結構やばいからやめてね。」


「はい?」


「ほら、着いたよ。」


私が質問するのを遮って、カフェの中に入っていく先輩。


「2名で。」


「かしこまりました。」


流れるように店員さんに案内されて、私たちは角の席に腰を下ろした。
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