惚れたら負け─お前のこと好きになった─
いつもの賑やかな声がしない家に違和感を感じつつ、キッチンに入る。


ハンバーグでいっか。一ノ瀬くんの分は……一応作っておこう。食べなかったら私が朝にでも食べればいいし。


──「よし、出来た。」


素早く準備をして、全てが終わった瞬間、インターホンを鳴らす音が響いた。


「え、あ、一ノ瀬くん…??ちょっと待って。この格好で出ろって……」


ブツブツと言いながらも、待たせる訳にはいかないから、私はエプロンをつけたまま、玄関のドアに手をかけた。


「ごめん、一ノ瀬くん。今夜ご飯作ってて…」


ドアを開けて、呆然と立ち尽くす一ノ瀬くんに状況を伝えると一ノ瀬くんはどこかぎこちなく笑った。


「あ、あぁ。」
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