惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「叶愛?」


箸が止まっている私を不審がったのか、戸惑いの混じった声で私の名前を呼ぶ一ノ瀬くん。


「何でもないっ!ごめんね。」


変な想像しちゃった…。


心の中でもう一度一ノ瀬くんに謝ってから、私は再び箸を進めた。



「一ノ瀬くん、先にお風呂入ってきていいよ?私…やりたいことあって…。」


ご飯を食べ終わって、ゆっくりしている中、一ノ瀬くんに声をかける。


ちなみにやりたいことがあるっていうのは嘘。


だけど、そうでも言わないと一ノ瀬くんは俺は後でいいとか言いそうだから…。


「分かった。ありがとう。」


「あ、ドライヤーは洗面所の引き出しに入ってるからそれを使ってね。」


頷く一ノ瀬くんに笑顔を返して、私は自分の部屋に戻った。
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