惚れたら負け─お前のこと好きになった─
十数分後─


「叶愛、風呂出たからどうぞ。」


「はーい。」


呼ばれたから…と思って、躊躇なく部屋のドアを開けると、そこには少し髪を湿らせた一ノ瀬くんが立っていた。


っっ!それに…半袖の一ノ瀬くん、初めて見た。


かっこいい……。


何となく、ずっとここに立っていたら、からかわれそうな雰囲気を感じて、私は一ノ瀬くんの横をすり抜けた。


「叶愛。」


のだけど…いつもの声に呼び止められてしまう。


「風呂でたら、髪乾かさずに俺のとこ来て。」


「え?あ、うん。」


何か理由があるのかなと思って、特に深く意味は考えずに頷いた。


一ノ瀬くんのせいで、熱くなってしまうことも知らずに…。
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