惚れたら負け─お前のこと好きになった─
そう思いながら、コンセントをさして、叶愛の髪から20cmぐらい離れたところからドライヤーをあてた。


「えっ、?」


突然のことにびっくりしたのか、大きな目をさらに見開いて俺の方を振り向いた叶愛。


「今日は俺が乾かす。」


「あ、…お願いします…。」


手を止めようとしない俺に、勝てないと判断したのか大人しく頭を下げる。


何でこんなに従順なんだ、叶愛は。あんまり可愛い顔するとすぐ襲われるぞ。


「叶愛、熱くない?」


「ん?何?」


ドライヤーの音で俺の声が聞こえなかったのか、叶愛は俺にグッと顔を近づけた。


その瞬間に、ドライヤーの風で髪がなびいて、叶愛の首筋があらわになった。


ブチッ……


そんな音がどこかでなって……俺の理性は壊れた……。
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