惚れたら負け─お前のこと好きになった─
[叶愛side]


一ノ瀬くんの言葉が聞き取れなくて、顔を近づけると、突然、ドライヤーの音は止まった。


…代わりに…、私の首筋に柔らかい何かがあたった。


「ひゃぁ、!」


「えっろい声。」


「いきなり何す……」


後ろを向いてしまったのがいけなかったのかもしれない。


一ノ瀬くんは私の気なんて知らずに、吸い付くようなキスをしてきた。


「んっ、、!」


苦しくて、胸を叩いても何の反応もない。


「やめっ、」


そのまま一ノ瀬くんは私の首筋に顔をずらして…首筋には、甘い痛みが走った。


「んんっ、」


「お前、警戒心なさすぎ。」


一ノ瀬くんは唇を私から離すと、今度は私を自分の方に向かせて、そのまま強く抱きしめた。
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