惚れたら負け─お前のこと好きになった─
街に出て、暑い日差しの中を2人で歩く。


一ノ瀬くんがかっこいいからか、すれ違う女の子たちはみんな一ノ瀬くんを2度見していく。


同時に私を見て、彼女がいるのかと呟いて、肩を落としていて……。


……私たちって、付き合ってるように見えてるんだ……。


でも、それってあまりに一ノ瀬くんに失礼な気がするよ。


私と一ノ瀬くんじゃ釣り合ってなさすぎるもん。


「叶愛、どうした?」


「え、?あ、ううん。なんでもない。」


「そう。…ほら、着いたぞ。」


ボーッとしてた私は、目的の場所に着いたのに気づいてもなくて、一ノ瀬くんに言われて初めて、自分の現在地が判明した。



寒すぎるくらいに、クーラーが効いたお店の中に少し困惑しながら買い物を進める。
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