惚れたら負け─お前のこと好きになった─
当たり前のようにカゴを持って、横に並んでくれる一ノ瀬くん。


「一ノ瀬くんは、何か欲しいものないの?」


「ん?叶愛。」


「っっ!そうじゃなくて!!」


本当に、人で遊ばないで欲しい。


しかも当然だろみたいな顔でこっち見ないで。全然、当然じゃないから!


「ごめん、ごめん。特に欲しいものとかないから大丈夫。」


「我慢しなくていいのに。」


してない。と首を横に振る一ノ瀬くん。


手元のカゴはもういっぱいになっている。


「まだ買うものある?」


「えっと、ここは最後かな。あとは、2階でシャンプーとか、洗剤を……」


「ん。分かった。」



会計を済ませて、買ったものを袋に詰め終わると、一ノ瀬くんは軽々と重たい袋を持ち上げた。
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