惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「ち、ちょっと!」


「夏休み、叶愛との時間作りたいから速攻で終わらせた」


「えっ、すごい……私には無理だ…」


一ノ瀬くんとの格差に俯いて歩いていると、先をいっていた一ノ瀬くんがこちらへ戻ってきた。


そして、背の高さゆえ、必然的に上から私を見下ろすようにして………


「勉強会するか?」


なんていう提案を持ちかけた。


そんなの、即答でしょ。


「する!」


「ん、分かった。」


「早く終わらせて、叶愛のやりたいこと全部やろうな」


……一ノ瀬くんが、私のことを考えて言葉を紡いでくれる度、私は少し不安になる。


自分のこと、後まわしでいいのかな、?って。


「一ノ瀬くんのやりたいことも、一緒に叶えようね」


そんな気持ちから出た言葉。


一瞬、目を見開いた一ノ瀬くんは、そのあと嬉しそうに口角を上げた。
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