惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「いいから。」


何も良くないです!!


私を無視して資料室へ入っていった一ノ瀬さんは目を見開いた。


「これ、1人でやってたのか。」


「へ?」


「早く終わらせるぞ。」


「は、はいっ、」


何となく逆らったら殺されると思った自分がいた。


だけど、意外にも一ノ瀬さんは真剣に私を手伝ってくれて、作業は想像よりも早く終わった。


2人で外へ出ると、太陽はほとんど沈んでいて、少しだけ光を覗かせていた。


「ありがとうございました。」


「ん。」


助けられちゃったな…意外と優しい人かも…


なんて思ってしまった私はすぐに後悔をすることになる。


「惚れた?」


「はっ、?まさかそのために!?」


「それ以外に何がある。」


…せっかく優しいと思ったのに…
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