惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「料理人とか絶対向いてるよっ!」


咄嗟に出た言葉に、一ノ瀬くんは考え込むような素振りを見せてから、首を振った。


「……いい、俺は叶愛の喜ぶ顔だけ見れたら」


っっっ、!!もう、なんなの、この人……


どこまでドキドキさせたら気が済むの。


「……叶愛?」


「…酷いなぁ、一ノ瀬くんは」


「え?」


私の意味不明な言葉に随分と焦っている一ノ瀬くん。


「え?叶愛?ごめん」


ふふっ、なんか可愛い笑


こういう時間、何気に好きだなぁ……


当たり前じゃないのが分かっているからこそ、幸せで………


「喜ぶ顔が見たい、っていうのダメだったか?」


「……自分のかっこよさ分かった方がいいと思うよ」


「……は?」


……あぁどうしよう。


やっぱり私…………一ノ瀬くんに結構惹かれてる………
< 152 / 176 >

この作品をシェア

pagetop