惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「……いいな、」


一ノ瀬くんが取ったくまのぬいぐるみ……すっごく可愛いし。


胸元に赤いリボンがついていて、、顔は少し一ノ瀬くんに似てる、ような?


「叶愛にあげる」


「え?」


「いらないの?」


「ぬいぐるみなんて、欲しくて取ると思う?」


『うん』と素直に頷いてみせる。


だって、私だったら絶対欲しいもん。


「バカ、違うわ」


一ノ瀬くんは私のおでこに軽いデコピンを放つ。


そしてそれから


「叶愛がもらって。そのために取った」


そんなふうに優しく目尻を下げた。


「……あ、りがとう」


「ん」


「…次!りんご飴食べよう!一ノ瀬くんも食べる?」


さすがに恥ずかしくなってしまって、慌てて口を開く。


「甘そ…」


あ、一ノ瀬くん甘いの嫌い??


「食べない?」



< 163 / 176 >

この作品をシェア

pagetop