惚れたら負け─お前のこと好きになった─
残念だけど……苦手なものを無理やり食べてなんて言えないし………


視線を落とすと、一ノ瀬くんはそんな私の頭にポンと大きな手を置いた。


「そんな顔すんな。食べるよ俺も」


「えっ!?」


一ノ瀬くんは、驚く私にふっと王子スマイルをおくってから、私の手を引いてどんどん足を進めていく。


「りんご飴2つください。」


りんご飴の屋台に立っていたのは大学生ぐらいの女の人で、一ノ瀬くんを見て頬を赤くしている。


さすが………もう、顔面凶器だよね、一ノ瀬くんって。


「あの、」


「あっ、はい!2つで600円になります」


値段を確認すると、一ノ瀬くんはお財布を取り出して、私の分まで払おうとする。


「え、待って、私が払うよ!」


「大丈夫」


いやいや、大丈夫じゃないよっ、一ノ瀬くんに払ってもらう訳には…
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