惚れたら負け─お前のこと好きになった─
────お風呂を出たあとで、一ノ瀬くんに呼ばれたリビングへ向かう。


「一ノ瀬くん、話って…」


そんなふうに尋ねたけど、大体検討はついている。


多分、、しーくんのこと。


「あの幼なじみ、なに」


「えーっと、しーくんって、幼なじみで……その関係で、小学5年生の時に引っ越しちゃったの。」


それ以来……会ってもなかったし、連絡すらとってなかった……


「でも、婚約ってどうしたんだろうね〜?笑びっくりしちゃった」


変な空気になりたくなくて、笑ってみせると、一ノ瀬くんは怪訝な顔をして私を見つめた。


「叶愛はあいつのこと好きじゃないんだよな?」


そして……そのあと…不安そうな悲しそうな瞳…


私は……正直しーくんのことをそんなふうに思ったことはない。


ずっと…大切な友達で、お兄ちゃんみたいな存在だった。
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