惚れたら負け─お前のこと好きになった─
…私も探さなきゃ…。


私は一ノ瀬さんの向かった逆方向へ探しに行った。



それから更に1時間が経っていた。


どこで落としたのかと泣きながら探してもどこにもなくて…


もう諦めよう。そう思ったのに…


「早乙女!」


その声に振り返ると、息を切らした一ノ瀬さんが手のひらに私が探していた編みぐるみを広げて立っていた。


「うそっ、これ…」


「屋上の入口に落ちてた。」


…一ノ瀬さん…。色んなところ探して…見つけてくれたんだ…。


「あっ、りがとうっ、」

その優しさが嬉しくて、私は偽りのない笑顔を初めて一ノ瀬さんに向けた。


それに一ノ瀬さんは驚いたような顔をして…


突然、私はその大きな身体に抱きしめられた。
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