惚れたら負け─お前のこと好きになった─
っっ!


「あ、のっ、分かったんで、離してもらってもいいですかっ!」


「ん。」


ようやく私を離してくれた一ノ瀬さんは、すぐに顔を背けてしまった。


だけど、耳がびっくりするくらい真っ赤で…


「罠…じゃないですか…」


「は?」


「そう言って、私を油断させるつもりとかじゃないですか…」


「そんな訳ねぇだろ。」


「でもっ!信じられないんです…私を好きになるとか…」


「…じゃあ分からせてやるよ。」


小さい声でそう言った一ノ瀬さんの唇が…私の頬に触れた…。


「きゃ、い、一ノ瀬さんっ?」


「さん付けやめろ。距離感じる。」


そんなこと言われたって…なんて呼べば…


「い…ちのせ、くん?」


これが限界!
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