惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「残り物には福があるって言葉、初めて信じた。」


席に座った一ノ瀬くんは私の方を向いて机に頬ずえをつく。


…!?一ノ瀬くんっ、そういうキャラなの!?
女嫌いなんじゃなかったの…??


「一ノ瀬くん…?」


本人は気づいてないと思うけど、周りの女子の目が怖い。


…その視線に耐えられなくて俯くと、優しい文香ちゃんの声がした。


「叶愛っ!同じ班!」


「えっ!ほんとっ?」


その言葉に自然と顔が上がって、思わず頬が緩む。


前の席にはその言葉の通り文香ちゃんが座っていて…。


「やったぁ…」


笑って応えると、突然文香ちゃんに包み込まれた。


「ほんとっ、可愛いっ!!叶愛の事はどんなやつからも私が守るからねっ!」
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