惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「失礼します…。」


「あ、早乙女さんっ!…と、一ノ瀬くんも来てくれたんだ。」


「何を手伝えばいいですか?」


「じゃあ、早乙女さんはこのテープを貼ってくれるかな?一ノ瀬くんは…本棚の整理をお願いします。」


「分かりました。」


コクンと頷いて、早速作業に取り掛かった。


「早乙女さん、丁寧だね。」


「こういうの綺麗にやりたいタイプで…」


「そっか。じゃあ、貼り終わったやつこっちに回して。」


「は…」


「先輩、終わりました。」


私が答えるのを遮るように一ノ瀬くんが私と先輩の間に割り込んできた。


「…そんなに早く終わらないだろ…。」


先輩の言う通り、終わるのが早すぎるから、私も驚いて図書室を見渡した。
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