惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「綺麗……」


「…仕事が早いんだな。じゃあ、特にやる事はないし、帰っていいよ。」


「いえ、俺は叶愛が終わるまでいます。」


「えっ!大丈夫だよ?まだ、時間かかるし…」


「なら手伝う。」


淡々と話す一ノ瀬くんは私の持っていた本を手に取って、丁寧にテープを貼り始めた。


…作業も丁寧だし…それに、一ノ瀬くんの指、細くて綺麗だなぁ…。


思わず見入っていると一ノ瀬くんは私の顔を覗いていたずらっぽく笑った。


「何?」


「な、何でもない…よ。」


何とも言えない気持ちになって、私も手元に目線を戻した。


一ノ瀬くんのおかげで、早く作業は終わった。


「先輩!終わりました。」


「あぁ、じゃあ今日はもう大丈夫だよ。ありがとう。」
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