惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「ふ、文香ちゃん、」


お店の外に出てきた文香ちゃんに、動揺を隠すように笑って見せた。


「あ、あ…叶愛っ!私の可愛い天使!!」


文香ちゃん、…なんかおかしい…。


「文香ちゃんも、めちゃくちゃ可愛いよ!」


「ありがとう、ね、今川くんも見て!」


後ろから姿を見せた今川くんの方に私を押す文香ちゃん。


「え、」


そんな私を見て、戸惑いの声を漏らした今川くん。


「やばいね、めっちゃ可愛い。」


っっ!!可愛いっ?


「っっ、」


反射的に顔を赤く染めると、


「叶愛。」


低い声で一ノ瀬くんに名前を呼ばれた。


今度はなに……?


一ノ瀬くんがどんな表情をしているのか想像しながら振り返ると、当の本人はムスッと口を尖らせていた。
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