惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「あの、お待たせしました。」


妙に他人行儀な話し方。


「ん。他のやつは?」


「今、会計してる。」


「そう。」


無意識に視線が叶愛の足元にいくと、叶愛は、右足のかかとを上げていて、足は少し震えていた。


……痛いのか、我慢してたんだな……。


「叶愛、ベンチ探すぞ。」


「えっ、でも……」


「足、痛いんだろ。」


なんで分かったんだ、みたいな表情を浮かべている。


「ごめんね。」


「いや…。平井さんには後で連絡すればいいから。」


安心したような顔で頷く叶愛。


正直……叶愛の傷の手当てが1番だけど、それとは別で、俺が叶愛を独り占めしたい気持ちもある。


……さて…どうやって叶愛を連れていくかな。
< 64 / 176 >

この作品をシェア

pagetop