惚れたら負け─お前のこと好きになった─
そしてそのまま、お風呂と脱衣所の間の鍵を閉めると、私を脱衣所の地べたに突き飛ばして、
強く、強く睨んでから外へと出ていってしまった。


「いや、待って…」


すがるように、ドアの方へ寄ると、すぐに鍵を閉める音が聞こえて、私の周りは真っ暗になった。


え、あっ、なん、でっ、


こんなの中学の時よりずっと酷い…


立派な犯罪だよ…


誰か助けて…お願い……



──体感、20分は過ぎただろうか。



寒くて、もう叫べない。


それに頭も、お腹も痛い…。


私…こんな所で取り残されて死にたくないよ。


誰か……


身体は恐ろしいぐらいに冷たくて、意識が飛びかけた瞬間、私の頭に一ノ瀬くんの顔が浮かんだ。
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