惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「なに、困んの?」


「え、えっと、また目つけられるかもしれないし。」


「俺が守るから大丈夫。」


うっ、そんなふうに言われちゃうと何も言えない。


「早く行くぞ。」


そして、一ノ瀬くんは何事もないような顔をして、私の手を引いた。


図書室に到着して、私の手を繋いだまま、席に腰を下ろした一ノ瀬くん。


委員会活動なのに、浮かれてるやつって思われるから……


「離して、一ノ瀬くん。」


周りに聞こえない声で、伝える。


すると、一ノ瀬くんはいたずらっぽく笑って、パッと手を離した。


…最近、一ノ瀬くんよく笑ってる気がする。


と、いっても不敵な笑顔が多いけど…。


座ってすぐに、副委員長として呼ばれて私は席を立った。
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