惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「気をつけろよ。」


私の耳元でそれだけ伝えて、自分の仕事へと向かった。


気をつけろ、って何を……??


分からない私がおかしいのか、なんなのか…。


「早乙女さん、行こう。」


「あ、はい。」


今井先輩の後を追って、資料室へ向かった。


ギィィィ………


重たい、鈍い音をたててドアが開いた。


「私、こっち整理しますね。」


「ありがとう。」


無言で作業を始める。



……それにしても…一ノ瀬くんの甘さが凄いというか……。


一ノ瀬くんって女子嫌いだよね?今まで彼女とかにこんなふうに接してきたの??


そう考えると、すごい溺愛体質なのかなぁ。


なんて、ふと思う。


なんかモヤモヤするような……だけど、気のせいだよね。


こんなの初めてだし、なんかおかしいだけ。
< 90 / 176 >

この作品をシェア

pagetop