惚れたら負け─お前のこと好きになった─
1人、なんとも言えない気持ちで資料室に戻る。


黙々と作業をしていると、20分ほど経って、先輩が戻ってきた。


「ごめん、お待たせ。」


頬にはガーゼが貼られている。


「大丈夫ですか?」


「うん、大丈夫。」


「あの、先輩、作業しなくて大丈夫です。」


そう言うと、何で?と言うように首を傾ける先輩。


「その、視界悪いと思いますし、また怪我したら大変なので。」


「仕事はちゃんとやらないとダメでしょ。」


「もう、終わります。あと、この10冊だけで。本当に大丈夫なので…」


俯いたまま、告げると、何故か先輩は私の方に近づいてきた。


「責任感じないで。俺は早乙女さんを守れて良かったと思ってるよ。」
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